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2007年04月17日

スーパーアグリF1チーム インサイド・レポート by 赤井邦彦 第3戦バーレーンGP

2006年のどん底の戦いがまるで遠い昔話のように感じられる。そう思うほどスーパーアグリF1チームの2007年の戦いは覇気に溢れている。少なくとも開幕2戦では佐藤琢磨もアンソニー・デビッドソンも練習走行、予選で好タイムを連発、決勝レースでも完走を続けた。その完走がポイント獲得の8位入賞に絡むことはなくても、確実に未来を感じさせる何かを期待させる結果だった。現実には他車と接触があったり、ドライバーのミスもあったりと手負いの獅子のような状態ではあったが、琢磨は開幕戦と第2戦で12位と13位、デビッドソンは同じく2戦とも16位の完走だった。
 しかし、いいことも悪いこともそう長くは続かない。それは人生でもレースでも同様だ。そして、スーパーアグリF1チームの2007年第3戦バーレーンGPは、長い幸運の後にきた少しばかりショックな躓きだった。

 マレーシアからたった1週間のブレークを挟んで、F1サーカスは中東の小さな島国バーレーンにやって来た。150億円をかけて砂漠の真ん中に作られた近代的なサキール・サーキットでは、2004年からF1グランプリが開催され、今ではすっかり中東の代表的なイベントになっている。今年は2月に初めてテストが行われ、今回のレースに向けてほとんどのチームが顔を揃えた。それから2ヵ月。4月13日から15日までの3日間、いよいよ本番たるバーレーンGPが開催された。といっても、第2戦マレーシアGPから僅か1週間のブレーク。チームもドライバーも準備に忙しい時間を過ごした。
 木曜日の夜、サーキット周辺は激しい雷雨に見舞われた。おかげで金曜日午前中のコースは雨で流された埃や泥が載り、理想的な状況とは言えなかった。SAF1のふたりのドライバーも、他のチームが走ってコースの条件がよくなってから、コースへ出て行った。ところがその午前中の練習走行中にデビッドソンのクルマがギヤボックス・トラブルに見舞われ、走行時間は削られてしまった。しかし、午後には琢磨もデビッドソンも順調に走行をこなし、理想的なクルマのバランスを獲得することができた。
 土曜日の予選は、琢磨とデビッドソンで明暗を分けた。午前中の練習走行では共にロングランの好バランスを獲得できたが、午後の予選ではわずかなアプローチの違いで琢磨がQ1でノックアウトされ、デビッドソンはなんとかQ2への進出を可能にした。琢磨は「スピードが乗らなかった」という。コーナーで少しワイドにはらんだことも、タイムに影響したようだ。デビッドソンは今年の目標だったQ1突破が叶えられて嬉しそうだった。「琢磨をやっつけたのも嬉しい。やっぱり最大のライバルはチームメイトだから」。琢磨は17番スタート、デビッドソンは13番スタートだ。

 さて、決勝レース。砂漠には遮るものがなく、風が土埃を巻き上げる。午後2時半、22台のクルマが一斉にスタートを切った。ところが第1コーナーで数台が絡む事故が起こる。琢磨とデビッドソンはそれをうまくかわして少し順位を上げた。
 SAF1はふたりのドライバーにそれぞれ別の戦略でレースを戦った。琢磨はとにかくアグレッシブに攻めるために、やや軽量のタンクで第1スティントを走った。20周目に燃料補給のピットストップをしたときには11位まで上がっていた。デビッドソンは琢磨と違い第1スティントを長く走ることに決め、燃料を多く積んでスタートした。1回目のピットに入ったのは28周目。その時デビッドソンはなんと6位にまで順位を上げていたのだ。
 ここまではSAF1のプログラムは順調だった。琢磨は第2スティントは長く走るつもりでピットを出たのだが、10周ほど走ったところでエンジンのパワーが低下する感じを受けたという。そして34周目が終了する目前にエンジンが猛烈に白煙をあげ、ブローしてしまった。35周目に入ったメインストレートでマシンを止めた琢磨。ここ数戦は快調に完走を続けていただけに、リタイアに肩を落とした。
 デビッドソンは琢磨がリタイアした後も健闘を続けたが、彼のマシンもゴールまで6周を残してエンジンが白煙を吐き、52周目にストップした。しかし、規定周回数をこなしていることから完走扱いになった。だが、もし最後まで快調に走れていたら12位でレースを終えていたはずだった。SAF1にとれば、無念の結果だった。しかし、マシンの性能向上については確実な手応えを得ており、ふたりのドライバーは次戦スペインGPに向けて、テストに励むことになる。

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